『グランツーリスモ5』の発売が近づいています。
このシリーズ、初代から欠かさず買っています。
当然“5”も、ずっと待ち続けた待望の新作です。
ところが、実際にアナウンスされてみると、どうも気分がのりません。
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元々クルマは好きです。
免許をとって最初に乗ったときからスポーツ志向が強くて、
ドリフトやダート走行に夢中になっていました。
その後クロカンに転向、オフロードコースを走ったりしました。
「峠を攻める」は主に二輪でやってましたが、後にクルマでも始めます。
今は家族向けの3列シートワゴンですが、
前にはスカイラインGT(“R”は付かないです)に乗っていました。
ただ、そういうリアルドライバーだからこそ、
ゲームのクルマに満足することはありませんでした。
熱中したゲームもありますが、
「レースをモチーフにしたアクションゲーム」として、楽しんでいただけです。
やがて3Dの時代になりましたが、
しょせん画面が派手になっただけと割り切っていました。
ところが、そんなレースゲーム観をがらりと変えてくれたのが、
初代『グランツーリスモ』だったのです。
一言で言えば、クルマ好きが本気になれるゲームだったということ。
というのも、「三次元機動の制御」というドライビングの本質が、
しっかりと再現されていたからです。
本来、スポーツドライビングでは、荷重移動が最重要になります。
つまり、どのタイヤにどの程度荷重をかけるのかを意識するということ。
ブレーキというのは、一般には「スピードを下げるためのペダル」ですが、
走り屋にとっては「荷重を前に移動させるための装置」となります。
ハンドルもまた左右の荷重を移動させるための装置で、
両要素を使うことで舵の効きや路面に伝わる駆動力などを自由に変えられます。
これを駆使して思い通りにクルマを操るというのが、
スポーツドライビングなのです。
こういうことは、それまでのレースゲームでは全く考慮されていませんでした。
アクセルもブレーキも、
単にスピードを上下させるためのスイッチとしてしか使われていなかったのです
。
ところが『グランツーリスモ』は、違いました。
「画面だけは3D」だった従来のゲームに対し、
「3Dが、画面にも再現」になったということです。
さらに、ゲームシステムの大胆な簡略化も、いい感じでした。
ぶつけてもペナルティなどなく、ひたすら前に向かって走り続けられる点。
“安全性”など考慮されていない、ゲーム独自のコースを使う点。
レースはシンプルで、たった6台のクルマが2・3周回ることで終わる点。
そして、レース直後にはリプレイ映像を見せる点。
一つ一つが、従来のレースゲームと比較すると常識破りとも言えたのですが、
どれもが、「ドライビングを楽しむ」を最大限引き出していたのです。
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ところが、今回はどうでしょうか。
正直なところ、もうかつてのような驚きはありません。
最大限評価しても、「よくできたレースのゲーム」としか思えないのです。
PRでは「全**コース、搭乗車種***台!」なんて言っています。
コース上を同時に走るクルマの数も増えるようです。
クルマはレーシングカー中心。レッドブルまで協力するのだそうです。
また、室内まで描写するグラフィックスとか、自慢げに語っています。
一方、ゲームシステム面でも、ついにダメージ制が入るようです。
ちらちらと登場していた「ペナルティ」も強化されるのでしょう。
でも、何のために?
「より楽しくする」ではなく、
「レースゲームってそういうものでしょ?」ですね、たぶん。
だいたい、登場が遅すぎますね。
内装まで描いたグラフィックスだの自慢されても、苦笑せざるを得ません。
その程度のことなら、もうEAがやってしまっているのですから。
ともあれ、リアルにするという行為は、本質を捉えるところがゴールで、
それを超えるとただ細かくしていくしかなくなってしまうのかも。
マシンの性能向上は、より細かい描写を可能にします。
でもそれがもたらすのはブレイクスルーではなく、
重箱の隅を突くようなイヤミなゲーム性ということかも知れません。
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……なんて思って静観していたところ、
初回限定版がAmazonであっという間に完売。
ソニースタイルでも、事情は同じ。
あわてて探したところ、
セブンイレブンのネットショッピングで可能だったので、
予約してしまいました。
結局、まんまと乗せられてしまっているわけです。
まあ、シリーズものなんてのはお祭りです。
御神輿はとりあえず担いでみようじゃないか、ってことで。
やってみなきゃ、文句も言えないですしね。
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