決して交通の便は悪くないのですが、自宅の近くに空地がありまして、この100年ぐらいは宅地にも畑にも利用されていないのか、あまり整地されていない土地です。
その空地は、所有者と利用者の決めごとが明確じゃないのか、数カ月ぐらいのスパンで、小さな畑が現れたり、駐車場になったり、時には数年間、草むらが続いたりする場所でした。
ところが、この半年ぐらい前からその荒地を開墾する男たちが現れました。男たちといっても、引退されて何年もたっている人生の先輩方なのですが、年齢を感じさせないスピードで開墾していきました。畑でも作るのかなと、通勤途中に毎日伺っていたのですが、その二人の方が交流している様子を見たことがありませんでした。
どうやら、お互いにライバル視しているのです。
ライバルとして意識している事は、日に日に明確になっていきました。二名の開拓者は、少し顔が怖くサングラスは絶対はずさないAさん、そして一見穏健そうなのですが、眼光の鋭いBさん。Aさんが「おれの敷地はここまでじゃ」って感じで、開墾していない草むらまで杭を打ち込み防風用のネットを敷き詰めました。それに負けじとBさんも同様のネットを設置し、その一部にAさんを見つめることができる透明のアクリル板まで設けました。それにAさんも即座に反応し、Bさん畑を向く方向で屋根付きの休憩所を作りました。まるで、監視小屋です。
ある日の夜、その開墾地のそばを通ったところ、何とBさんの畑が、赤くピカピカと工事現場のように光っています。暗くなるまで、畑仕事の手を休めないAさんへの警告のようです。それに対抗したのか、Aさんは次の日から、自分の城を訪問する友達の自転車を止める駐輪所を作り始めました。
もう完璧に争っています。そのうちに未開墾の土地を争う勢いです。
両氏の争いは、まさにリアルタイムストラテジーゲームです。
あとは、騎馬隊や金鉱脈さえ出てくれば、「Age of Empires」です。
やっぱり、遊びと生活は一致しているのです。
AさんBさん、畑は次にはどんな文明に発展するのですか。
僕は期待しています。
勝者なんてどっちでもいいです。時間をかけて素晴らしいゲームの経過を見せてください。
あとAさん、毎朝僕をそのサングラス越しに、にらむのをやめてください。怖いです。
楽しんでいるの、ばれたかな。
VT