今年から、アップルが「MacAppストア」を始めています。
アプリケーションのインターネットを通じた配信システムで、
MacOSの機能として追加されるものです。
12月に購入したMacbookAirも、
冬休み中にようやく本格的に使えるようになったため、
OSアップデートを実行、MacAppストアを試してみました。
単なるダウンロード販売なら珍しくもありませんが、
さすがにあのアップルが鳴り物入りで始めるだけのことはあります。
感覚は、iPhone/iPadの場合とほとんど同じ。
紹介を見て購入を決めれば、あとは1クリック。
ダウンロードからインストールまで、シームレスで進んでいきます。
手間のかかるライセンス認証もありません。
さらにアプリの価格もじゅうぶん納得のいくもの。
『Pinball HD』というソフトを購入しましたが、
本格的なピンボールソフトが3本分入って、なんと350円!
そんなこんなで、売り手の都合ばかり優先して作られている
従来型のダウンロード販売システムが、
ひどく時代遅れなものに見え、痛々しくすら思えてきました。
さて、このMacAppですが、実は大きな可能性を持っています。
iPhone/iPadのアプリがそうであるように、
一個人でも作り手として自分の作品を世に問える仕組みだからです。
従来のパッケージ販売では、流通がネックになっていました。
既存流通業者は、実績ある会社でないと取引してくれず、
また、商品の単価が小さい場合も嫌がるものでした。
しかし、MacAppストアには、そうした制限はありません。
小さなプロダクションの小さなプロダクトでも、世界に向けて発信できます。
そして、こうした特徴がもたらすかもしれないものは、
ゲーム教育関係者としても、無関係ではありません。
私たちの目的はクリエイターを送り出すことなのですが、
会社を単位にした現在の業界システムでは
「創る力」以前に「会社に入る力」の方が優先されてしまいがちです。
しかし、業界システムが替わっていけば、これも変わるはず。
かつて某校が「『就社』ではなく『就職』を」なんてコピーを掲げていましたが
、
まさにそういう時代がやってくるかも知れないということですね。
実際のところ、Mac専用のシステムであるという点で、
どうしてもメジャーにはなりづらいです。
また、はじまったばかりの現段階ではほとんどのソフトが英語です。
正式に搭載される次期MacOSの時点でもこのままの状態だったなら、
Macユーザーにとってすら、日本では一般化しないかも知れません。
しかし、これがWindowsやコンシューマまで巻き込むような
大きな動きを招くきっかけになる可能性はあるでしょう。
iPhoneの成功が、ガラケーの時代を終わらせようとしているのと同じです。
まあ作り手としては、どのような環境になろうとも
「いいものを作る」に尽きるんですが。
(傭兵隊長)