学生との会話で 「パスカル」 の話が出た。
「パスカル」と言えば、敏い皆さんは 『考える葦』 や 『クレオパトラの鼻』 など、
パンセの一節を思い浮かべるだろう。
私も好きで、「人間は、ひとくきの葦に過ぎない。・・・ 宇宙はそれについて、何も知らないからである。」 や
「クレオパトラの鼻、それがもう少し低かったら、・・・ 大海 も一つの石で変動する。・・・」
など、「葦」から「宇宙」、「鼻」から「大海」 へ、スケールの大きい考えに、若い頃は感嘆したものである。
逆に、弱いものは他にもあるのに 「なぜ葦か?」 っていう疑問も芽生えたが・・・。
この話もあるが学生との会話は、コンピュータを学んでいる学生らしく、
「パスカル」 と言えば、コンピュータ言語の 「Pascal」 の事であった。
当時、画期的なコンピュータ言語として、
NASA(アメリカ国立航空宇宙局:National Aeronautics and Space Administration)で
使われて評判になった言語である。
一時期、専門書の一画を独占していた書籍類を、私も若い頃に漁った記憶がある。
また、旧コンピュータの発足に値する 「パスカルの歯車式計算機」 を完成させ、
父親(エティエンヌ・パスカル) の徴税官の仕事を楽にしようとした、親孝行息子の話にも及んだ。
その他、パスカルが工学系に貢献した話しも出た。
「パスカルの定理」・「パスカルの三角形」・「確率論の創始(ゲーム関係の賭け考察)」・「サイクロイドの求積問題」・「パスカルの原理(流体の平衡の理論)の提唱」 など。
その中でも、「二項定理」 として有名な 「パスカルの三角形」 は、今でも傑作だと思っている。
最後に、印象深いのは国際単位系の圧力・応力の単位になっている パスカル(Pa)だ。
気象学(天気予報や天気図など)では、世界中で長い間に渡って気圧をミリバールで表現していた。
日本においては、1992年12月1日よりミリバール が ヘクトパスカル(hPa) に置き換えられた。
二十歳の学生が4歳の頃であり、記憶が無いと思うが、我々はミリバールに慣れていたので、違和感を感じたものだ。
いまだに、『960ミリバールの台風が接近・・・』 などの響きが懐かしい。
学生と充実した話し合いができた時間であった。
(善)