「日本のカレンダーは世界一綺麗だ!」 と言われている。
事務局の好意により、運よく来年のカレンダーを手に入れた。
教室に貼るカレンダーである。
特別気に入ったものではなく、「日付けがあればいい」という軽い気持ちで選んだ。
さっそく使おうと思い、最初のページをめくった。
通常であれば、そのまま貼るところだが、何か気になった。
カレンダーに描かれた絵。
一見、変哲も無い絵である。しかし、よく見ると変わっている。
最近のカレンダーは、流行のエコを取り上げたもの、世界観を強調したもの、
掛け軸風のもの や 訓示などが描いてあるものなど、さまざまだ。
しかしこの絵は、背景が無く、木彫りの小さな人形がポツンと置いてあるだけの絵である。
「何がいいのかな?」と、逆に気になった。
せちがらい世の中。木のぬくもりで人像を作る事により、人間関係に安心感を与える狙いなのかな、
とも思った。
しばらく、その絵を眺めていると、ある事に気が付いた。
「木の節目をうまく使って彫られている人形だ」 と言う事である。
節目が、膝や肘になっていたり、年輪が髪型の流れになっており、
本来の 『木』 の特徴をうまく人間に馴染ませている。
「ひょっとしたら、国宝級の作かな?」 とも思った。
残念な事に、その方面の知識が無く判断できないが、素人でも素晴らしい作品だと感じる。
いや、見落としてしまうぐらいに奥が深いものだと理解できた。
ところが右前隣の席から一言、「CGじゃないの!」。
ドキッとした。CGなら好きな所に節目や年輪を作る事ができる。
しかし、もし本当の木彫りであれば、作る前の構想力が素晴らしく、
卓越した概念が無ければ作れない作品だ。
うちのCG系学生が鍛錬している 「構想力」 に通じるものがある。
いくら小手先がうまくデッサンなどを描いても、人を魅惑する作品を作るには
「構想力」 が鍵になりそうである。
来年、うちのクラスからCG系コースを希望する学生がいる。
CG系コースに行くからには、CGのプロとしてやっていけるような努力をして貰いたいと切望している。
とにかく、CG系も努力した時間がそのまま返ってくるので、朝のデッサン室通いを励行して貰いたいものだ。
(善)
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