修羅場なんて言葉があります。
社会一般的には、ワイドショー的なイメージでしょうか。
女性二人に挟まれてどっちを選ぶか迫られるなんていう、
ドラクエ5のようなシチュエーションですね。
しかしゲーム屋的には、
やっぱり納期直前の追い込みモードでしょう。
これも一種の“業界残酷物語”で、
ファミコンの時代から、あれこれと言われています。
某社では外からしか鍵のかからない小部屋があるとか、
プログラマの背後に管理職が交代で立っていて
トイレに行く時間までも管理されるとか。
また、ある会社がタイムレコーダーを導入したものの、
最初の一ヶ月間誰も家に帰れなくて、
一度も打刻されないまま月の締めを迎えた……なんて話もあります。
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私のいた会社はかなりぬるま湯的なところだったので、
そんな経験とは無縁でした。
ただ、独立後だと、悲惨な思いをしたこともあります。
ある時、請けていた仕事が停滞してたので、
別のシナリオの仕事を入れたところ、前の方が突然始動、
見事に重なってしまったのです。
しかも、講師の仕事もがっつり入れていたので、
朝から夕方まで出勤しなければなりません。
自宅では、とにかくシナリオ書き。
ただこうなると、やってもやっても終わらないんですね。
ゲームシナリオというのは、物理的に文字量が多いのです。
睡眠時間を切り詰めるしかなくなり、
6時間が5時間に、
そして最終的には3時間すらとれなくなりました。
こうなると、自宅にいたって、寝室にはいけません。
寝るのももっぱら仕事部屋の床。
ふとんに入っちゃうと熟睡してしまうので、
あえて絨毯の床にごろ寝して、満足に眠らないようにするわけです。
服だって着たままで、ほとんど“家庭内ホームレス”。
ただ、人間の適応能力というのは恐ろしいもので、
そんな状態でもつい爆睡してしまったことがありました。
顔にびっちりとじゅうたんの後を残したまま出勤して学生に笑われて、
さらに講義しながら睡魔に負けたりとか。
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……なんて、こんなことを思い出したのは、
今日のブログ当番が“奇襲”だったから。
言われるまで全然きづかなくて、何の用意もしてませんでした。
えらいこっちゃーと書き殴ったのが、この文章です。
とても修羅場なんて呼べるものじゃないですが、
大あわてする心のあり方の共通性から、思い出してしまいました。
現場の第一線から離れ、ティーチャーを実質的な本業として久しいです。
学校は、長期的にも短期的にも規則正しい職場で、
ありがたいことなんですが、
あの頃の神経をチリチリ灼かれるような緊張感が、
懐かしく感じられるときがあります。
まあ、あくまでも“遠きにあって思うもの”としてですが。
(傭兵隊長)
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